19世紀の職人の手わざから生まれたカワカマスのクネルは、リヨン美食の最も美しい象徴のひとつとなりました。Les Halles de Lyon Paul Bocuseでは、変わらぬ情熱とともに提供されています。
ある料理が、ひとつの街の物語を語ることがあります。クネルは、まさにそのひとつです。言い伝えによれば、その誕生は1830年ごろにさかのぼります。リヨンの菓子職人Charles Morateurが、当時ソーヌ川(Saône)に豊富にいたカワカマスの繊細な身を、上質なシュー生地と組み合わせることを思いついたとされています。この思いがけない結びつきから、とろけるように軽やかな逸品が生まれ、輝かしい未来へと運命づけられました。
レシピは幾十年もかけて磨かれていきました。1920年代、シャルキュティエのJoseph Moyneが牛脂をバターに置きかえ、スプーンで成形する技法を編み出しました。これが、職人の手によるクネルに、細長く先のとがった、ひと目でそれと分かる形を与えたのです。こうしてクネルは伝説に仲間入りしました。リヨンの母(Mères lyonnaises)たちは誇らしげに自らのレストランの献立にそれを掲げ、Paul Bocuse自身も、それを自らの料理の象徴のひとつにしました。
Les Halles de Lyon Paul Bocuseでは、この遺産が日々受け継がれています。1910年創業のMaison Giraudetは、ここで、カワカマスから鶏肉まで、そしてAin地方産のザリガニの薔薇色のクリームであるソース・ナンチュア(sauce Nantua)をまとった名高いクネルにいたるまで、たいへん繊細な手わざを守り続けています。
「リヨンの胃袋」の丸天井の下でクネルを選ぶことは、情熱あふれる職人たちと言葉を交わし、二世紀近くにわたる物語を受け継ぎ、リヨンの美食の魂の生きた一片を持ち帰ることなのです。
